ハハが入院した その3

そしていよいよ退院(転院)当日。車椅子に乗って現れたハハは思ったよりずっと元気そうだった。

ニッコリして「あら、どうしたの?」なんて言われて思わずがっくり。自分の現状を把握していないのは想定内だけどやっぱり力が抜ける。

介護タクシーを頼んでいたので運転手さんが車椅子を押してくれてそのまま車に。同乗して1ヶ月ぶりにハハと会話。

このまま家に帰る気満々なのをどうにかやり過ごして転院先の病院へ。今まで入院していた病院が(急性期病院なせいか)どことなく殺伐とした雰囲気が漂っていたのと比べて新しいせいもあってかどこかのどかな雰囲気で迎えられ方も”お客様”なイメージ

 

 

正直に言えば最初の病院に入院中にもうこのまま寝たきりか、いくらなんでも一人暮らしに戻るのは無理だろうとアパートを少しずつ片付け介護施設の資料を取り寄せめぼしいところの見学に行ったりしていた。

それでも本人の全くあずかり知らぬところで進めるのには抵抗があってとりあえず転院の日に様子を見てからと思っていたのがもちろん体は弱って自力では立っていることもできないけれどもそして入院前からの認知症はあるものの会話もできる案外普通じゃん。となるとなんとかなるんじゃないか?という淡い期待が湧いてきてしまう。

そういう甘い気分が自分の首を絞めることもわかっているのだけどさ。

 

転院先の主治医の先生にも年齢の割にしかも1ヶ月入院していた割にはお元気ですねと驚かれたものの退院後の一人暮らしは無理でしょうときっぱり言われた。

もちろん本人は非常に不満そうだったけど、やっぱりそうだよねと揺れる心。

 

転院先の病院には2ヶ月しかいられないから早々に施設探しをしなくちゃいけないんだけど相変わらず本人とは会えないしメールしても返事はないしこっちも気が抜けたみたいになって停滞中。

これまでも一応独居だったしすごく世話が焼けるとかなくてこれで介護してますなんて言ったら怒られるよなと思っていたけれど

生協の買い物を代行したり医者や歯医者の予約取って連れて行ったり暑さ寒さにちゃんとエアコンつけてるかしら水分とってるかしら熱中症になってないかしらと気をもんだりしなくていい生活ってなんてお気楽なんだろうって思う。

むしろハハのことを忘れてる時間の多さにちょっと戸惑う。

いかんいかん、退院後のことをちゃんと考えなくては。2ヶ月なんてすぐよ。