67冊め 「村田エフェンディ滞土録」 梨木香歩

 

村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

 

 考古学研究のためトルコに留学した村田、エフェンディと言うのは先生と呼ぶ如き尊称らしい。

国籍も宗教も背景も異なる者たちが寄り集まる下宿屋の居間には鸚鵡までもがいて議論したり心配したり気遣い合ったりしている。

帰国後革命があり戦争が起き彼の国の人たちの死の知らせとともに鸚鵡が村田のもとに届く。

それまで静かに語られてきた物語がこちらの感情を大きく打つ。

 

「家守綺譚」の高堂や綿貫とも物語は連なっていく。