今日の読了本 153

「陽子の一日」 南木佳士

陽子の一日

陽子の一日

先端医療の現場から離れ日々外来患者をこなす女医。過疎の村で終末医療を担い行き詰まった元同僚の病歴要約が届く。
それはほとんど自分史と言ってもいいようなもので、この要約と女医の一日と回想が交互に語られる。
南木佳士の作品は主人公=作者と感じられるものが多いいわゆる私小説だけれども
この作品も女医・元同僚の医師共に作者の分身であるのだろう。
医師の理想や正義は現実の前には力もなく最先端の医療に人の心は追い付いていない。
諦めや負い目を抱えつつ生きて老いていくのだろう