今日の読了本 160

「夢違」 恩田陸

夢違

夢違

大きく広げた風呂敷をいっそ畳みきらないことが恩田陸の魅力なのかもしれない。
私はどうしてこんなにも恩田陸の作品が好きなのだろう。

夢を映像として記録しデジタル化した『夢札』を読み解く『夢判断』
そんな世界で起こる子供たちの異変。
登場人物たちの会話や主人公の自問自答が繰り返される中で徐々に高まっていく
怖い感じ。これは「失われた楽園」と通じる怖さ。
いつものように張っただけで放置されているような伏線も多々あるようですが
もしかしたら恩田さんの中ではこの世界は延々と続いていて
今回切りだされていない部分で回収されているのではないかなどと
感じてしまいます。
ラストシーンに関しては好意的な声が多いようですが、そんなに葛藤なくそこへ行くなよ!と私なんかは思ってしまうんですけどね。
この切り替え(切り捨て?)もまた恩田陸なのかなぁ。。