62冊め 「よっつ屋根の下」 大崎梢

 

よっつ屋根の下

よっつ屋根の下

 

 父親の左遷をきっかけに離れてしまった家族。

正しくてもそれだけでは足りないこともある。自分の希望を通したように見えて実は胸が痛み続けていることもある。不本意なようで大切なことを見つけられることもある。

もとに戻るのではなくそれぞれが新たに歩み始める決断。

それにしてもこのお母さんにはちょっともやもやを感じる。父親への愛憎に似た葛藤、祖母や母親からのプレッシャーと色々あったんだろうけれど大事なものが何なのかが全然わかっていない。

子供にこんなふうに思わせちゃだめでしょう、自分が一番じゃ。

色々わかる、わかるけれども私のあごの下の鱗にチクチクと触れてくるのだなぁ。

持っていると結局はこういうものなの?

前向きなエンディングなのにいつまでもささくれのような痛みの残る読後感である。